FXトレードには基本的なトレードスタイルが存在します。スタイルといってもFX投資が短期目線なのか、はたまた長期目線なのかというスタンスのことです。
基本的にFX投資は為替のボラティリティ(価格変動率)が大きく、またレバレッジをかけて取引が可能であるため、短期目線での投資がスタンダードです。
トレードスタイルは一般的に以下の4種類があり、資金的余力やトレードにかけられる時間に応じて自身のトレードスタイルを確立しましょう。
- Scalping(スキャルピング)
- Day Trading(デイトレード)
- Swing Trading(スイングトレード)
- Carry Trading(キャリートレード)、別名ポジショントレード
目次
Scalping(スキャルピング)
数銭から数十銭というわずかな利ザヤを狙って1日に何度もトレードを行うトレードスタイルのことで、FXトレードスタイルの中で最も多くの取引を行うトレードスタイルです。
一つ一つで得られる利ザヤは少ないですが、一日に何度も取引を行うことで、利益を積み重ねます。専業の個人投資家の多くがこのスタイルによっておりますが、トレードをしている間はチャートに張り付いている必要がありますので、副業トレーダーでこのスタイルをとることは難しいといえます。
数十秒ほどで取引を手仕舞いし、チャートが大きく変動している際にはわずか数秒で手仕舞いすることもありますが、状況によっては数時間のポジションを持つこともあります。このため、このスタイルの特徴はファンダメンタルズとかテクニカル分析を駆使するというよりも、反射神経に重きを置きます。
相場が大きく変動している時がスキャルピングのベストタイミングですので、GBPやAUDなど為替ボラティリティが大きい通貨を取引すると良いでしょう。また、時間帯も雇用統計など重要指標の発表時など値動きが激しい時を狙うのがおすすめです。

スキャルピングのメリットとデメリット
スキャルピングの最大のメリットは、短期間で売買を行うため為替リスクに晒されにくいということです。
為替相場は他の投資商品と比較して値動きが激しいため、予期せぬ損失を被る可能性がある投資になります。その点為替リスクにさらされる時間が少なく、リスクを小さくできることは最大のメリットといえるでしょう。
また、スキャルピングは短期集中型のトレードスタイルであるため、忙しいビジネスマンでも効率よく資産を増やすことが可能で、またポジションを持ち続けることがないので、精神的にも安定できるでしょう。
スキャルピングのデメリットは、膨大な取引を行うことになるため、どうしても取引コストが嵩んでしまうことです。
スキャルピングのEntry-Exitタイミング
損切りポイントは利食いポイントよりも大きくすることが基本です。損切りは早く利食いは大きくするよう心がけましょう。
(例)損切ポイントが5pipsほどであれば、10~20pipsを利食いポイントとする。
絶好のエントリータイミングとしては、レンジ相場や三角持ち合い相場から抜けたときです。レンジ相場や三角持ち合い相場から抜けた瞬間は抜けた方向に大きく動いていくため、大きなリターンを得られる可能性は大きいでしょう。
なお、スキャルピングでは短期間での動きが重要ですので、1分足か5分足でのチャートを利用することがおすすめです。

Day Trading(デイトレード)
1日の中で取引を行い、その日の内にトレードを済ませる取引が基本ですが、チャンスと見ればそのまま数日から長くて1週間程度ポジションを持ち続けることもあります。
こちらも個人投資家に人気の取引であり、翌日にポジションを持ち越さないため、急な相場の変動にも対応できるトレードスタイルといえます。
為替市場は24時間体制で常に相場が開いているため、雇用統計など夜中のうちに市場に影響を与えるイベントが行われることがあるので、夜中に高いレバレッジをかけたまま持ち越さないようにすることが重要です。
トレードとしては短期売買のため、スイングトレードに比べて、小さな利幅を狙って利益を得る方法といえますが、高いレバレッジをかけることで大きな利益を狙うこともできます。
デイトレードではスキャルピングほどではないにしろ取引量が大きいため、スプレッド幅が小さく、流動性が高い通貨を選ぶことがおすすめです。基本的にはどの通貨でもよいのですが、南アフリカランドなど流動性が低く、スプレッドが大きい通貨は向いていないといえるでしょう。

デイトレードのメリットとデメリット
デイトレードのメリット・デメリットはスキャルピングとあまり変わりませんが、スキャルピングにはないデイトレードのメリットを挙げるとすれば、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を行うことでエントリーするため、ある程度確信を持ったうえでトレードができることとExitのタイミングが事前に明確にできることです。
デイトレードのEntry-Exitタイミング
デイトレードではスキャルピングとは異なり、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を行うことで相場の流れを掴みましょう。スキャルピングよりもエントリー前にチャートを分析する必要があります。
デイトレードにおける相場の流れをつかむ方法としては、まず日足および字観測で相場の時間帯の流れを掴みます。その上で5分足チャートでエントリーのタイミングを決定しましょう。
デイトレードの場合、エントリーのタイミングはボックス相場とトレンド相場によって異なります。そのエントリーのタイミング解説記事は後日UPしますが、トレンド相場のエントリータイミングについては、少しだけポイントを先出しします。
- 長期上昇トレンドの中での短期上昇トレンド
⇒絶好の買いエントリータイミング - 長期トレンドの中での短期下落トレンド
⇒我慢の時間帯。エントリーするなら売りだが、無理はしない。 - 長期下落トレンドの中での短期上昇トレンド
⇒我慢の時間帯。エントリーするなら買いだが、無理はしない。 - 長期下落トレンドの中での短期下落トレンド
⇒絶好の売りエントリータイミング
また、エントリーは売られすぎてたり、買われすぎているなどの反発時を狙うのがおすすめです。

Swing Trading(スイングトレード)
スイングトレードは中長期的な目線で取引を行うトレードスタイルであり、数日~1ヶ月程度の間でエントリーと決済を行います。
中長期間ポジションを保有するので、ボラティリティが大きい為替レートをベースに取引を行うFXには向いていないといえますが、投資資金が潤沢にあり、ハイレバレッジトレードを行う必要のない投資家にとっては最適なトレードスタイルです。
FXトレードを始めたばかりの方がトレードに慣れるために、低レバレッジで行う場合にもおすすめのトレードスタイルです。

スイングトレードのメリットとデメリット
スイングトレードのメリットとしては、比較的動きをとらえやすい長期的な為替相場を分析してトレードを行えることです。
スイングトレードのデメリットとしては、ポジションを中長期的に保有するため、為替リスクを受けやすいことでしょう。また中長期的に資金が固定化されてしまうため、大きなリターンを狙いにくいことも挙げられるでしょう。
スイングトレードのEntry-Exitタイミング
スイングトレードでは長期的なトレンドから中期的な為替相場の動きを把握しトレードするタイミングを図ります。
ポジションについては、中期的上昇トレンド内では買いポジションを保有し続け、中期的な下落トレンドでは売りポジションを保有し続けることがポイントです。
スイングトレードでは短期的なトレンド内でポジション量を変化させてはいくものの、全体的なポジションとしては中期上昇トレンドでは常に買いポジション、中期下落トレンドでは常に売りポジションを保有し続けます。
スイングトレードではデイトレードと比較して、大きなトレンドを捉えて取引することとなるため、デイトレードの利食い・損切りポイントよりも広めの利食い・損切りポイントを設定しましょう。
一方、ポジションは少なめにするのがおすすめです。これはデイトレードの時のように常にPCの前に張り付いているわけではないので、急な為替相場の動きには反応することができないことから、ポジション量は少なくする様に心がけましょう。

Carry Trading(キャリートレード)
キャリートレード(別名、ポジショントレード)は長期的目線でトレードを行う手法であり、数カ月に1度程度取引を行う投資スタイルです。
為替取引市場で日本円などの金利の低い通貨をアメリカドルなどの金利の高い他の通貨に交換し、その金利差から得られるスワップポイントを狙うトレードにおいてよく用いられるトレードスタイルです。

おすすめのトレードスタイル
以上を纏めると、FX専業の個人トレーダーや学生など、時間的な余裕がある方であればスキャルピングやデイトレードのような短期トレードがおすすめといえます。またサラリーマントレーダーのように、出社前や出社後にトレードをされる方も短期トレードが良いでしょう。
短期トレードの場合には、チャートに張り付くことになり、FXに時間をとられてしまうデメリットもありますが、為替のようにボラティリティが高い商品で取引を行うため、急な為替の変動に対応することができるメリットもあります。
また通常は為替取引の場合にはレバレッジをかけて、少額の資金で大きなリターンを狙いますが、このようなリスク志向型のトレーダーにとってもスキャルピングやデイトレード良いでしょう。
一方で資金が潤沢にあり、低いレバレッジで取引をされる方やスワップポイント狙いのトレードをされる方はスイングトレードやキャリートレードがおすすめです。
なお、管理人は比較的安定して稼ぐことが可能なスイングトレードと大きなリターンを狙ったスキャルピング・デイトレードを組み合わせたハイブリットなトレードスタイルをとっています。
FXに限らず投資をする際には、Entry(注文)とExit(決済)のタイミングが重要です。
つまり、どのようなタイミングでトレードを行うか、またどうなった時点で手仕舞いするかをトレードを行う前に決定することが重要です。
そのEntryとExitを決定するためにも、自身のトレードスタイルをどれにするかFXを始める前に決めておきましょう。